その他0.1%未満
低血糖,全身倦怠感,脱毛
注1)このような場合には減量又は休薬すること。
注2)既に腎機能障害のある患者においては症状が増悪することがあるので,このような場合には直ちに投薬を中止し,適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
1.
高齢者では,患者の合併症,既往歴,自・他覚症状などに留意し,少量から開始するなど投与量に十分注意すること。[肝・腎機能が低下していることが多く,また,体重が少ない傾向があるなど,副作用が発現しやすい。]
2.
腎機能については投与中も定期的に臨床検査等を行い,常に機能低下がないかどうかを確認し,異常が認められた場合には直ちに投薬を中止して,さらに腎機能悪化が進行しないよう適切な処置を行うこと(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)。
3.
高齢者においてスルホニル尿素系血糖降下薬(グリベンクラミド)との併用により,冷汗,強い空腹感,動悸等の低血糖症状の発現が報告されているので注意すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
適用上の注意
1.
服用時:本剤は徐放錠であるので,割ったり,砕いたりしないでそのまま服用させること。
2.
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
その他の注意
1.
外国では普通錠の1日600mg(分3)投与において,消化器症状等の副作用の発現頻度が比較的高いことが報告されている。
2.
ラットの24ヵ月間投与試験で,雄の高投与量群(123及び256mg/kg,臨床用量の20〜40倍)において,精巣の間質細胞腫が認められた。ラットの雌及びマウスでは発癌性は認められていない。
薬物動態
1.
血中濃度
(1)
単回投与
1) 健康成人男子10名にベザトールSR錠200mg1錠を単回投与した結果,最高血中濃度到達時間は4.5時間,最高血中濃度は3.5μg/mL,血中からの消失半減期は3.0時間であった。
図 ベザトールSR錠200mg服用後の血清中ベザフィブラート濃度推移
(2)
連続投与
2) 健康成人男子6名にベザトールSR錠200mg1回1錠,1日2回,7日間連続投与した結果,投与2日後に定常状態となり安定した血中濃度が得られた。
2.
代謝3) 健康成人男子における試験では尿中に未変化体及び代謝物(グルクロン酸抱合体及び水酸化体)を認めたが,血清中はほとんど未変化体であった。
3.
排泄3) 健康成人男子にベザトールSR錠200mg2錠を単回投与した結果,48時間までに投与量の69.1%が尿中に排泄され,そのほとんどが24時間以内であった。
薬物動態の表
200mg錠単回投与時の速度論的パラメータ
(n=10:mean±S.E.)
Tmax (hr) | Cmax (μg/mL) | AUC (μg・hr/mL) | T1/2 (hr) |
4.5±0.5 | 3.45±0.32 | 17.97±1.22 | 2.98±0.54 |
臨床成績
延べ172施設において行われた二重盲検を含む872例の臨床試験の概要は次のとおりである。4〜19)
1.
一般臨床試験及び二重盲検比較試験成績
常用量を用いた臨床試験で,416/537例(77.5%)に高脂血症改善効果が認められている。血清脂質の変化率は,総コレステロールの低下が11〜19%,LDL-コレステロールの低下が12〜21%,トリグリセリドの低下が30〜57%,HDL-コレステロールの上昇が32〜48%であった。
WHO分類の型別改善率は下表のとおりであった。
また,二重盲検比較試験においてもベザトールSR錠100mg及び200mgの有用性が認められた。
2.
家族性高脂血症に対する成績
家族性高コレステロール血症に対して,ベザトールSR錠100mg及び200mgの有用性が認められている。
3.
長期投与成績
ベザトールSR錠200mg1年以上の長期投与例(99症例)では,投与1ヵ月後より有意な血清脂質の改善が得られ,以後安定した効果が認められた。
臨床成績の表
タイプ | 中等度改善以上 |
IIa | 135/181例(74.6%) |
IIb | 199/247例(80.6%) |
III | 4/5例(80.0%) |
IV | 63/86例(73.3%) |
V | 15/18例(83.3%) |
薬効薬理
1.
血清脂質改善作用
(1)
高脂血症患者の血清総コレステロール及び血清トリグリセリドを有意に低下させ,HDL-コレステロールを有意に上昇させた。4)
(2)
血清総コレステロール低下作用
20) 高コレステロール食負荷誘発高コレステロール血症ラットに対する,ベザフィブラートの経口投与は,用量依存的に血清総コレステロール値の上昇を抑制した。
(3)
血清トリグリセリド低下作用
20) フルクトース誘発高トリグリセリド血症ラットに対する,ベザフィブラートの経口投与は,用量依存的に血清トリグリセリド値の上昇を抑制した。
2.
作用機序
(1)
脂質生合成に対する作用
21,22)
1)
コレステロール生合成抑制
アセチルCoAからメバロン酸に至るコレステロール生合成過程を抑制する(ラット,ヒト)。
2)
トリグリセリド生合成抑制
アセチルCoAカルボキシラーゼ活性を抑制し,トリグリセリドの生合成を抑制する(ラット)。
(2)
リポ蛋白代謝に対する作用
5,23)
1)
LPL(リポ蛋白リパーゼ)活性及びHTGL(肝性トリグリセリドリパーゼ)活性を亢進し,リポ蛋白の代謝を促進する(ヒト)。
2)
LDLレセプターの活性を亢進し,LDLの代謝を促進する(ヒト)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:ベザフィブラート(Bezafibrate)
化学名:2-(4-{2-[(4-Chlorobenzoyl)amino]ethyl}phenoxy)-2-methylpropanoic acid
構造式:

分子式:C19H20ClNO4
分子量:361.82
性状:本品は白色の結晶性の粉末である。本品はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく,メタノールにやや溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けにくく,水にほとんど溶けない。
融点:181〜186℃
**包装
ベザトールSR錠100mg:100錠[10×10], 500錠[10×50]
ベザトールSR錠200mg:1000錠,100錠[10×10], 500錠[10×50],1000錠[10×100]
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
健康成人を対象とした臨床薬理試験[単回投与](社内資料)
2)
健康成人を対象とした臨床薬理試験[連続投与](社内資料)
3)
健康成人を対象とした第I相臨床試験(社内資料)
4)
中谷矩章ほか:臨床医薬, 4(10), 1779, 1988.
5)
佐々木淳ほか:臨床医薬, 4(11), 2121, 1988.
6)
高脂血症患者を対象とした臨床試験(社内資料)
7)
梶山梧朗ほか:臨床医薬, 4(12), 2343, 1988.
8)
小沼富男ほか:薬理と治療, 16(12), 4947, 1988.
9)
松沢佑次ほか:臨床医薬, 4(11), 2137, 1988.
10)
山本 章ほか:臨床医薬, 4(10), 1811, 1988.
11)
末廣 正ほか:臨床と研究, 65(8), 2673, 1988.
12)
竹迫賢一ほか:臨床医薬, 5(2), 397, 1989.
13)
後藤由夫ほか:臨床と研究, 66(2), 571, 1989.
14)
高脂血症患者を対象とした長期投与試験(社内資料)
15)
斎藤 康ほか:臨床医薬, 5(1), 175, 1989.
16)
井出 肇ほか:臨床と研究, 65(12), 4010, 1988.
17)
甲斐元朗ほか:新薬と臨床, 37(12), 2229, 1988.
18)
鬼原 彰ほか:Prog. Med., 13(12), 2761, 1993.
19)
末廣 正ほか:基礎と臨床, 27(16), 6199, 1993.
20)
草間 寛ほか:日本薬理学雑誌, 92(3), 175, 1988.
21)
草間 寛ほか:日本薬理学雑誌, 92(3), 181, 1988.
22)
Blasi, F. et al.:Pharmacol. Res., 21(3), 247, 1989.
23)
Stewart, J. M. et al.:Atherosclerosis, 44(3), 355, 1982.
**文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
キッセイ薬品工業株式会社 くすり相談センター
〒112-0002 東京都文京区小石川3丁目1番3号
フリーダイヤル:0120-007-622
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
キッセイ薬品工業株式会社
松本市芳野19番48号