KISSEI
糖尿病患者さんを
支える“ひと"2
糖尿病診療に携わるメディカルスタッフの方に、
患者さんの療養支援で心がけていることやコミュニケーションの取り方、
患者さんが受診したくなるような工夫、心に残った患者さんとのエピソードなど、
日頃の実臨床での様子を伺いました。
  • 竹輪 美里 たけわみさと さん

    株式会社はーと&はあとライフサポート 専属管理栄養士

竹輪さんって、こんな方

長崎県出身。小さいころから食べることが大好き。
人に食べることの楽しさ、すばらしさを伝えたくて、管理栄養士の道を目指す。
専門学校を卒業後、3年間の実務経験を経て管理栄養士資格を取得。
特別養護老人ホームにて栄養ケアマネジメントの立ち上げにたずさわる。
その後、株式会社はーと&はあとライフサポートに入社。
配食サービスを行っている、在宅食生活サポート事業にてカスタマーセンターで利用者対応を経験後、2019年より専属管理栄養士として、食事療法のためのサービス”栄養コントロール食”コースの利用者宅を直接訪問し、食生活のサポートを行っている。

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お届けするお弁当は、食事療法の教科書です

訪問するから、わかること

「こんにちは、”はーと&はあと”です。おかげんいかがですか?」——毎日、京都市内をバイクで走り回って利用者さん達のお宅を訪れ、こんなふうにお声をかけています。“はーと&はあと”では、食事を届けるだけでなく、お一人お一人に管理栄養士がついて食生活の悩みをうかがい、直接食生活のサポートをしています。実際、お弁当は週3回しかとってないけれどそれ以外の食事について相談したいという方や、「こんなサプリメント飲んでみたいんやけど、大丈夫かなあ」と相談される方もいます。

お宅を訪問するということは、生活の場を拝見すること。利用者さんには生活習慣病の方が多いので、日ごろの食生活がわかる機会はとても貴重です。たとえば、病院の先生には「食事療法がんばってるね」と褒められている方でも、実はお菓子がたくさん買い置きされていたり、お仏壇のおまんじゅうを食べてしまっていたりなど、訪問することでその方の本当の生活が見えてきます。利用者さんの実態から食生活改善のヒントを得ることはとても多いですね。

実現できそうな小さな目標から

私が担当している利用者さんの背景はさまざまですが、総じて糖尿病の方は、基本的な食事に関する知識の不足から食事のバランスが崩れて悪化しているパターンが多いと感じます。

食事は毎日のことなので、やりたいこと、食べたいものをすべて禁止すると、利用者さんとしては「もう食事療法なんて、いやや」となってしまいます。ですから、ていねいに食事内容をヒアリングし、時には冷蔵庫の中をはじめ家の様々なところを見せてもらったりしながら、その人が達成できそうな小さな目標を作ります。そして、作った目標の達成が食生活の改善につながるよう心がけています。

「糖尿病=米が悪い」と考えて、「ご飯を食べるのをやめました。でもお腹が空くから、間食にシュークリームを食べてます」という生活を続けた結果、血糖値が非常に悪化してしまった方がいました。この方には、「糖尿病は糖質の多い食べ物をとることで悪くなるんですよ。ご飯をしっかり食べていれば次の食事までお腹は空きません。間食も食べるんだったら午前中にしましょう」とお話しして少しずつ正しい知識をつけてもらい、最終的に血糖値を正常にすることができました。

病院の先生でも看護師さんでもないところに気安さを感じてくださっているのか、「実はね…」と、ナイショの食生活を明かしてくれることもあります。「先生には絶対言えないけど、ハンバーガーがやめられないんや」。そんなときも、お話を共有しつつ「ハンバーガーを食べに行ってもいいですけど、一緒に飲むのはジュースじゃなくて砂糖なしのコーヒーに!」と、改善策の提案は忘れません。「それならできそうや」と思ってもらえる目標を設定すると、すんなり受け入れてくださいます。

お届けするお弁当には”正解”がつまっている

糖尿病の利用者さんをみていて感じるのは、いわゆるマニュアルどおりの食事療法はハードルが高いということ。「退院のとき、病院で栄養指導は受けたけれど、結局何をどのくらい食べたらええのやろ」とか、「自分が作った食事が正解なのかどうかわからへん」というお話はよくききます。

私は「私達がお届けするお弁当を”お食事の教科書”と思ってください」と伝えています。お届けするお弁当を通じて、「1回に食べる肉の量はこの大きさなんや」とか「味付けはこのくらいの薄さがええんやな」ということを実際に目で見て、舌で感じてもらう。その経験を重ねて、何をどのくらい食べたらいいのか、どの程度の味の濃さが適切なのかをつかんでいただければいいなと思っています。

(第2回につづきます)